おもちゃとアートが交わるところ/「遊びのなかの色と形展 ークルト・ネフ&アントニオ・ヴィターリ」展@目黒区美術館
友人 @solakoichiが、 宙 -SOLA-の話をしていた時に「Neafのおもちゃ」というのがあると教えてくれた。それ以来、なんとなく気にはなっていたが、ちゃんと調べたことはなかった。
◆遊びのなかの色と形展 ークルト・ネフ&アントニオ・ヴィターリ
Twitter経由で知ったこの展示が、09/12(日)までだと知って、ちょっと行ってみようという気になった。目黒のさんま祭りがちょうど開催中、ということも手伝って、カミさんと一緒に目黒へ足を伸ばした。
さんま祭りを見た後、坂を下って目黒区美術館へ。
2階の大半が展示スペース。1階と、2階の一部にも「遊べる」スペースが用意されていて、大勢の子供と、その親とおぼしき人たちが、ネフのおもちゃで遊んでいた。ちなみに撮影不可なので、展示の写真はなし。単語からGoogleの画像検索をリンクしておきます。Amazonにもたくさん画像があったので、ベタベタと。
最初に作られたという「ネフ・スピール」の形を見て、心奪われた。こんな不思議な形をした積み木は見たことがない。あるいは見たことあったのかもしれないが、気に留めていなかった。言葉では説明できない。展示されているのをみると、その多様性にびっくりする。幾何学的なシンプルな形でありながら、組み合わせ、重ね方はとても多様で、見た目の面白さが素晴らしい。色のカラフルさも含め、目に艶やかで楽しい。
その後発表されたシリーズも、いずれも基調は「木のおもちゃ」ということでありながら、幾何学的な面白さ、色の面白さ、遊びの多様性を折り込んでいて、飽きの来ない楽しみを提供している事が分かる。この一種数学的な喜びは、なんともいえず心地よい。
形も四角、球、三角、菱形、六角形など。立体的にこれらが織りなす組み合わせは、無限の広がりを見せてくれる。よくこれほどまでに考えられたものだと感心する。
「ダイヤモンド」という積み木の実演もしていた。これはペア・クラーセンというデザイナーの作品だそうだが、大小の四角い枠を組み合わせて立方体にしたような……まぁリンクの先の画像を見ていただきたい。右の画像だけではとても語り尽くせない。この組み合わせは本当に魔法のようだ。
展示の中にはこうした木のおもちゃがどのように加工され、着色されるかを見せているコーナーもあって、面白かった。
積み木のほかにも、色の組み合わせを楽しむもの、動かして遊ぶものなどもいろいろなタイプのものがある。さまざまなデザイナーを起用し、作品に記名するという仕組みもなるほどと思った。そうしたアーティストによって作られた作品もまた、非常に面白かった。
こうした幾何学的な、ともすれば大人が喜びそうなアーティスティックな玩具を、子供がはたして喜んで遊ぶのだろうか、という疑問はあったのだけれど、プレイスペースでは大勢の子供が大喜びで(時に奪い合いながら)遊んでいたから、それは私の見方がヒネているのだろう。
いくつか実際に手にとって遊んでみたが、本当に面白い。パズルのようでもあり、アートのようでもある。
一方、アントニオ・ヴィターリの作品は、幾何学よりは、どことなくモディリアーニを彷彿とさせる。ゆるやかな曲線で構成された動物たちは、デフォルメされて、面白い形に仕上がっている。この形のユニークさが魅力的だと思った。
今回展示されているおもちゃたちは、どれも一歩間違うとアート展示になってしまいそうなほど美しい(もちろん、おもちゃはアートの一形態でありうる)が、高さ170cmの展示作品「ノアの方舟」は、まさに芸術品と言える。これは玩具店の展示品として作成されたモノらしいが、今回はその玩具店の厚意により、日本での展示が可能になった。遊びのなかの色と形展 オフィシャルページにその画像がある。方舟からつがいの動物たちが降りてくる様子を模しているこの作品は、動きと躍動感があり、穏やかな喜びがある。
目黒区美術館はいつも意欲的で面白い展示をしているというイメージがあるが、今回の展示も楽しかった。
Amazonでも多数取り扱っているほか、販売サイトも見つけたので、興味があればどうぞ。