『マザネンダバ』と狐憑のシャク
娘が生まれてからというもの、我が家には絵本があふれている。頂いたものもたくさんあるし、カミさんが図書館で借りてくる絵本もたくさんある。まだ早いんじゃねーかというようなのも含まれているけれど、しかしまぁ早期教育ということでは、先のものを与えることには賛成できる。
もっとも対象年齢高めの絵本を読んで喜ぶのは、娘よりも私のことが多い。私は絵本のちょっとハズれたセンスが好きなのだ。まともな話より、ビミョウなアンバランスさをもった作品が面白い。今回気に入った『マザネンダバ』が面白かったのは、それが民話由来だということもあるかもしれない。
→『マザネンダバ 南アフリカ・お話のはじまりのお話』(福音館書店|こどものとも 2012年2月号)
この世の中に足りないものは「おはなし」だ、ということで、家族のために「おはなし」を探しに行く母ちゃんマザネンダバ。さまざまな動物たちに聞き取り調査を続ける。動物たちの性格付けや、駆け引きのようなものがあって面白い。さし絵には南アフリカの刺繍絵が採用されていて、独特の色彩感を放っている。ラストに至るまで心地よい穏やかでprimitiveな雰囲気が漂っている。
ストーリーは中島敦『狐憑』を彷彿とさせるが、だいぶポジティブだ。
→図書カード:狐憑@青空文庫
『狐憑』の方は、中島敦らしいネガティブさにあふれていて、これはこれで小気味よい。短い話なので、上記青空文庫であっという間に読み終わる。和漢混合体に耐えられるなら。
私は中島敦が大好きで(たまに作品を芥川龍之介と混同するが)、短編でキリリとしていい話を書くのがいい。
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