ヘムレンさん、あなたに神のお恵みをーー『あたまにつまった石ころが』
切手にコイン、人形やジュースのびんのふた。みなさんも集めたこと、ありませんか?わたしの父は、石を集めていました。まわりの人たちはいいました。「あいつは、ポケットにもあたまのなかにも石ころがつまっているのさ」たしかにそうなのかもしれません―2001年度ボストングローブ・ホーンブック賞。ノンフィクション部門オナー賞受賞作。
この絵本はなかなか楽しい。語り手のお父さんは貧しい苦労人で、ガソリンスタンドのような職を転々としながらも、自慢の石ころコレクションを手放そうとしない。どんな会話からでも「ところで、ほら、ちょっと見てください。いい石を見つけたんですよ」と始めるお父さんは、まるっきりヘムレンさん。つまり超コレクター。
下手をすればだいぶダメ人間だが、そのコレクターっぷりは、天下の科学博物館の鉱石展示室で世間話に「自分のもっているのより、いい石を探してるんです」「どのくらい見つかりました?」「10個です」と答え、グレース・ジョンソン館長を「たった10個なの?」と仰天させる。
趣味人のお父さんが幸せになる様子を家族の視点から暖かいユーモアを交えて描く、ハートウォーミングな一冊。お父さんが幸せになってくれて私も嬉しい。
↓原書
3件のフィードバック