『すてきな三にんぐみ』トミー=アンゲラー

子供の頃に読んだ覚えはない。いつもあの不気味な表紙とタイトルのミスマッチが気になってはいたけれど。割と最近になって読んで、なんか面白かった。

面白かったというのは、そのミスマッチ。文中では「どろぼう」と表現してあるけれど、実際にやっていることははもうちょっと生々しく馬車強盗だ。さすがに残虐シーンは省略されているけれど、前半だけ読んだらけっこう怖い画面である。そういう彼らが一人の女の子に遭遇して……というわけだけど。

なんかダークヒーロー的な始まりをしてそのまま急転直下に大団円にもつれ込むのでなんか大人としては「お? あれ?」と思わないでもない。「あれ? い、いいのかこの結論で……」みたいな。倫理的ギリギリ感のスリルが味わえる(笑)

でもこの本のすごいところは、たぶんその有無を言わさぬ急展開で納得させるその強引さであろうかと思う。

スケール感のシフトが見事。超ミクロ的・個人的な視点の前半から、時間的にも空間的にもマクロなスケールへ変貌を遂げ、あっと驚く感動のラスト?への転換がすごい。その転換があまりにも見事なので「ま、まぁいいか。時効だしな……」と納得させられてしまう。驚異の時効絵本なのです!

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