じぶんのしるしと、じぶんの署名――『てん』ピーター・レイノルズ
岩崎ちひろ美術館の「〈企画展〉谷川俊太郎と絵本の仲間たち-堀内誠一・長新太・和田誠-」で展示されていた絵本。
お絵かきなんて大嫌い! 苦しまぎれに描いたのは、小さな小さなひとつ。
という女の子、ワシテが主人公。
お絵かきが大嫌いなワシテは、先生に「なんでもいいからしるしを」と言われてしぶしぶ、画用紙に1個の点を描く。
ここですかさず先生が「サインして!」と署名を促す。
人は、特に学習期にある子どもは、言われた通りのものになる。
「こんなのは絵じゃない」と否定されたら、それは絵じゃない。
「これは絵だ! 君のサインした作品だ!」と肯定され、額縁にまで入れて飾られたら、それは絵になる。
ということは、描いた本人は、絵描きになるわけだね。
この巻末に記載された献辞には、「中学校1年生の時に、数学の先生が『じぶんのしるし』をつける勇気を与えてくれた」とある。
結末まで含めて、とってもさわやか、すかっと嬉しい気持ちにさせてくれる絵本。読む人に、『じぶんのしるし』をつける勇気を与えてくれる本です。
原書↓