ダイアログ・イン・ザ・ダークへ行ってきた!(2020年02月)

東京都北区の「もうすぐ東京2020大会!来たKITA学び合いフェスタ」の中で「DIALOG IN THE DARK =ダイアログ・イン・ザ・ダークショーケース=」と題して、「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」が開催されていたので、夫婦と小学校1年生の娘で参加してきました。

私自身は2007年、旧赤坂小学校で行われたダイアログ・イン・ザ・ダークに参加したことがあります。その時の体験を日記に残していますが、忘れられません。

ランゲージ・イン・ザ・ブライト/ダイアログ・イン・ザ・ダーク – 【もがみさんの日記更新しました】

この貴重な機会を娘と一緒にできるのは大変嬉しいことです。

赤羽会館4階

赤羽駅の南口改札から出るのが近くてお勧めです。南口改札に出るためには、埼京線で南側2両分くらいまでの階段に乗らなければなりません。北側8両の階段はすべて北口に出ることになってしまうので、注意が必要です。

この日、4階のフロアが「来たKITA学び合いフェスタ」の会場になっています。エレベーターの脇に傘置き場があります。(ダイアログ・イン・ザ・ダーク会場でも傘を預かってくれます)

左奥の方に受け付けがあります。申込時の名前を照合するので、免許証など名前のわかる証明書が必須です。

待合室で16名を2チームに分ける

待合室で開演時間まで待つ間に、荷物を預けます。大きな袋が用意されているので、そこに入れ、番号札を失くさないように持ちます。私は普段から大きなリュックサックをかついで歩いているのですが、それがすっぽり入ったのでかなり大きな袋だと思います。

私が持っていったリュックはこれです [74thHeaven]

アテンダントのお二人がここで自己紹介されました。男性の方と女性の方1名ずつ。私たちは女性の方のピンクチームでした。仮にこの方をmrnさんとお呼びします。

ここで白杖をお借りします。白杖は鉛筆のように三本指で支え、自分の足の前を付いたり、左右にこすったりして障害の有無を確かめます。サイズは大小あるのですが、娘には特に短いものを貸してくれました。

注意点としては、

  • 杖を上に上げないこと。人に当たったりするので。
  • 手探りをする時には、指を相手に向けないこと。相手の口に入ってしまったりすることもあるとか。手の甲で探るのがいいそうです。
  • 声を出すこと。「かがみます」「杖を探します」「杖を拾います」「立ちます」など、声を出すことで周囲の人との連携がとりやすくなります。

娘は自分のチームのアテンダントが女性で少しリラックスできたようです。mrnさんも娘に気を遣ってくださり、娘の手を引いてくれました。

定刻になり、通路を挟んで反対側、カーテンに覆われたドアをくぐります。中はいったん小部屋に区切られていて、ここに全員が入ってから後ろのドアを閉め、完全な暗闇の中を前に進むことになります。

どのくらい完全かというと、目を開いても目を閉じてもまったく同じ黒さが続きます。文字通り「鼻をつままれても分からない暗闇」です。

円座で

最初は左手側の壁に沿って進みます。時々素材が変化しているようですが、既に方向感覚がよくわからず、どうなっているのかわかりません。少し進んでから立ち止まりました。

それから「輪になりましょう」というmrnさんの指示で、隣の人と手を繋ぎ、最後尾の人がmrnさんに手を繋いで輪になりました。

「試しに信号を送ってみましょう」とmrnさん。隣の手を2回握ります。無事信号はmrnさんに戻って来たようです。

自己紹介。全員がニックネームで名乗ります。

次に、mrnさんは何か取り出してきました。カラカラと音がします。手渡しで一巡します。鈴が入ったボール、表面がつるつるしていて、触ると何か筋があります。ピンと来ました。

mrnさんが「さてこれは何でしょう?」と尋ねるのにだいたいの人は「ボール」と答えていました。私はもう一歩踏み込んで「サッカーボール」と答えました。正解です。これはパラ競技「ブラインドサッカー」で使うサッカーボール。鈴が入っているため、ボールが動いている限りはボールの場所がわかります。

ゆっくりとボールを転がして受け渡し。全員が声を頼りにボールを転がし、相手も受け取ることができました。一度のミスもないのはなかなかすごいですね。

ニックネームの順に整列

次に、ニックネームの順番で並ぶことに。たまたま、カミさんが先頭。私は娘の後ろで、最後尾から2番目です。お互いの肩に手をかけた状態(娘は手が届かないので前の方の腰に手を触れさせてもらいました)。

この状態でジェンガをすることに。娘がすらすらと説明します。右右左左前後ろ前前前。前後の人との距離感がつかみにくいので、前後ジャンプがなかなか、難しい。

男性のブルーチームも1列になっているので、遭遇したらじゃんけんをします。もちろん、見えないので「じゃんけんチョキ!」のように手を叫ぶことになります。こちらのチーム(カミさん)が負けましたので、ブルーチームが先行して次に移ることになりました。

人工芝へ

人工芝の敷いてあるところにまた車座になって座ります。mrnさんが何かの入ったかごを持って来て、みんなの中央に置いてくれました。まずはウェットティッシュのケースを回します。一枚ずつ手に取りながら、一巡。手を拭きます。

手を拭いた後、そのウェットティッシュをどこに置くべきか。うっかり床に置くとわからなくなりそうです。私はとりあえず、自分の膝の上に置いておきました。(後でかごの中に戻して良いですよ、と言われたのでそのようにしました)

次にかごの中身を一つずつ取ります。ストロー付きの紙パックです。娘が「ジュースだ!」と嬉しそうに言ったので「ジュースとは限らないよ。苦いコーヒーかも……」と言うとみんなが笑いました。

娘は手探りでストローを刺すのに苦労しています。mrnさんが手伝ってくれました。

私は飲んでみて、一瞬「りんご?」と思いましたが、だんだん「オレンジジュース」だとわかりました。ただ、意外と確証が持てません。他の人は「りんご」「オレンジ」「グレープフルーツ」「麦茶?」などがあったようです。

車座になったまましばらくおしゃべり。出口の向きはどちらだと思いますか?というmrnさんの質問。たぶん娘の後方だと思うのですが、確証が持てません。「でも、mrnさんは把握してるんですよね?」と尋ねたら「でないとご案内できませんから(笑)」とのこと。流石。

ゴミをかごに戻して、さて出口を目指します。mrnさんが娘の手を引いて先導してくれます。車座になった時の娘の後方か、もしかしたら私の後方だったかもしれません。

光の国へ

小部屋を通過してドアを出ると光のエリア。少し目を慣らしたいところですが、階段があるので目をつぶってばかりもいられません。

見るとmrnさんが娘の手を引いてくださっています。私は役割の交代を感じました。そこで「階段です」「階段終わります」と声に出して伝えました。

休憩所のようなところがあり、椅子が用意してあります。娘に「mrnさんを椅子までお連れして」と頼みました。

感想

休憩所の椅子で、感想を交換しました。以下は私の感じたことです。

  • 杖を手放す時に、完全に手から離れてしまうとどこにあるのかわからなくて不安。自分の近くに置いた上で、置いた場所をしっかり覚えておかないといけない。
  • 距離感がなく、部屋が無限に広いように感じられる。mrnさんは「声の反響など」でも広さがわかるとおっしゃっていたので、慣れなのか……。出口の方向も我々にはまったくわからなかったが、mrnさんは常に把握できているらしい。
  • 娘が紙パックに触れて「ジュース!」と思ったが、それは先入観で、実際には何が入っているかわからない。そういう先入観を排除しないといけないな、と思った。また逆に私は飲んでしばらく「りんご? オレンジ?」と判断しかねた。普段目に頼っているせいか、味だけで判別するのが意外と難しかった。
  • 2020年7月、竹芝にダイアログ・ミュージアムがオープン予定。中身はまだわからないが、mrnさんが「何かやってみたいことってありますか?」とお尋ねになったので、私は「駅で電車に乗ってみたい」とお伝えした。以前から(古い日記を見たら、2000年頃から)「全盲の人が駅で電車に乗るってどんなに勇敢なことだろう」と感じているので、そのことが体験できたらと思う。

クリップボード付きのアンケート用紙が配られ、みんな感想を書きました。

こども用の用紙もあったようです。ふりがながなかったので、娘だけではまだ読めず、カミさんが読んであげました。最初は怖がっていた娘も、すっかりリラックスして楽しめたようです。

白杖をmrnさんが回収するということだったので、娘とカミさんと合わせて、「3本です」と伝えながら渡しました。

12年前に果たせなかった闇の言葉を使うことができて、私は何か、とてもホッとしました。やっと借りを返した気持ちです。

ダイアログ・ミュージアム

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