無害教育のススメ/中庸を行く

東京大学構内

会社の人から「うちの子の教育をどうしたらいいかしら」と質問された。私のように学歴が無駄に高いと、こういう質問を受けることはよくある。

「学歴が高いとやっぱり生涯収入が高いし……」と、言われても、今、現に同じ会社にいるじゃんね(汗) その前は俺、低収入まっしぐらだし。

学歴ではだいぶん低いうちのカミさんの方がよほど収入は多い。結局収入というのは、本人の資質とやる気の問題で、それは学歴とはまた違ったところにある。国語算数理科社会、とは違ったところにある能力だ。商才というのは、公立中学では教えてくれない。教えたらいいとは思うけれど。

対象年齢以上のものを子供に与える

前にも書いたかもしれないが、こういう相談をされた時に、最近話すのは、うちのカミさんがうちの母親から聞き出した逸話だ。

うちの母は、常に「対象年齢」以上のものを子供に与えるようにしていたらしい。1年生の子供には2年生向けのものを与えるのだ。身内びいきになるが、これはたしかにいいアイデアだと思う。子供は吸収力があるし、わからなくても自分なりに理解するから、先のものを与えておくというのはとてもいいと思う。特に私の場合、6歳年上の兄がいたこともあり、自分の周りに「年齢不相応のもの」はたくさんあった。1年先といわず、3年でも4年でも先のものを与えちゃったらいいと思う。どうせすぐ3年くらいたつんだし。

ただし、私自身はこの逸話の主人公のはずだが該当する記憶がない。5年生の時に6年生のものをもらったって?そんなことあったかなぁ……

「無害な教育」を目指す

もう一個、この逸話のいいところは、害が少ない、ということだ。

教育で気をつけないといけないことは、子供を損なうということじゃないかと思う。特に、高学歴とか、高収入とかを目指そうと思うなら「子供を損なわないよう」注意しなければならないことだ。学習塾結構、家庭教師結構、場合によっては詰め込み教育だって結構だ。それが効果的な場面は、たしかにある。

しかし、成績をただ上げようと思うと、常に人間性のバランスを崩すリスクを伴う。そういう例は、どこにでも転がっている。不良化して家を飛び出すくらいで済めばいいが、ニート引きこもりになって社会生活できなくなるとか、犯罪者になったりすることだって、ないとはいえない。そういうリスクをできるだけ抑えつつ、成績を上げるとか、地頭を良くするとか、目指すべきだと思う。

高学歴の人に体験談を聞くのもいいが、そうした強烈な事例をそのまま自分の子供に適用しようとすると、これは劇薬を使うようなもので、たいてい、子供にとってストレスになったりする。

ただでさえ、成績を上げようと時間をかければ、他のことにかける時間はなくなる。スポーツ、遊び、大切なことはたくさんある。そういうバランスをあんまり偏らせない方が、いい人間に育つような気がする。

その点、1年生に2年生対象の物を与えるとか、比較的、害はなさそう。だって、けっこう楽しかったぜ。同級生に対してささやかな優越感も得られるし。

必要なコストが低いことも好都合で、対象年齢相応の物の代わりに1年先の物を与えるくらいなら、試してみることができそうだ。

■2016-02-26(金)追記

参考になる?記事を見かけたので追記。
→東大卒真面目系クズの末路 「灘→理Ⅲ」3兄弟の母の教育論について東大卒の私が思ったこと。

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2件のフィードバック

  1. 2016年1月8日

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  2. 2016年6月11日

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