「東大生の3分の1が通う学習塾は最強」か。(茄子との比較)
先日、読んだ育児書に「東大生にアンケートをとったところ、3分の1が学習塾Aに通った経験があった。学習塾Aは最強かもしれない」とあった。娘が通っている学習塾Bはわずか1%未満。
こういう欺瞞的な論理にひっかかるようなら、親の方をまず教育する必要がありそうだ。
一見すると、なるほど「東大生の3分の1が通うってことは凄いのかも……」と納得してしまうかもしれない。
だけど、よく考えて頂きたい。国内だけでも1万5000を超える教室を持つ学習塾Aと、全国500教室に満たない学習塾B。学習者が多いのはどちらだろうか? 「東大生の3分の1」ということだけで学習塾Aの内容が優れているという判断はできない(営業力が優れているという判断ならできるかもしれない)。
そもそも学習の中身を吟味せずに判断をすること自体がナンセンスだが、仮に通った数で判断するとしても、最低限以下のような視点は考えて頂きたい。
東大生のうちで茄子を食べたことのある人の割合
東大生のうちで、茄子を食べたことのある割合はどのくらいだろうか。これはあくまでも予想だが、90%を超えるのではないかと思う。
してみると茄子は最強と言える。
他の大学との比較:他大学で学習塾Aに通った人はどのくらいの割合か
より学力の低い(という書き方は失礼だが)他大学ではどのような割合だろうか。
他大学で学習塾Aに通った人が全体の2分の1、あるいは過半数、あるいは90%だとしたら、むしろ「学習塾Aに通わない方が東大生になりやすい」可能性さえある。
ちなみに他大学でも、茄子を食べたことのある人の数は90%を超える。あまり最強っぽくない。
母数との比較:学習塾A、学習塾Bに通った全員のうち、何%が東大生になっているか
学習塾Aに通った生徒の1%が東大生になり、学習塾Bに通った生徒の90%が東大生になっているのだとしたら、学習塾Bに通った方がいいとも考えられる。
茄子を食べた人のうち何%が東大生になるのか、出生数から見て学年に120万人くらいは人がいるようだから、東大生3000人として、400分の1、0.25%くらいだろうか。最強どころか、だいぶ弱々しい。
まとめ
論理的な思考ができる親はこのように考えるので、上記育児書を一瞥しただけで気にも留めないと思うが、論理的でない(が子供を高学歴にしたい)親はコロリとだまされる。子供を教育するにはまず親から、と言われる所以である。
私自身は必ずしも子供に東大生になって欲しいとは思っていない。学力だけがprj_80YearsOfHappiness: 子供の80年間の幸福度を最大化するプロジェクトの指標でもない。楽しく人生を送るのに、学力は必ずしも必須ではないのだ。
仮に「東大生を目指す」あるいは「高い学力の指標として東大生の輩出できる学習塾を選ぶ」という視点だったとしても「東大生の3分の1が通うから最強」というような乱暴な論理で結論を出すわけにはいかない。
ちなみに、私自身は学習塾Aに通ったことがある。いい面もあれば悪い面もあるが、数学に関しては効果があったと思う(反面、ストレスも多かった)。
茄子は好きだ(じゃがいもの方が好きだが)。