彼女が母から学んだこと

最近、5歳の娘がカミさんと一緒になって祖父の真似をすることが多くなった。カミさんが「じーじの真似(笑)」と言って口まねをして笑う。娘もそれを真似して笑う。妻は「じーじは鹿児島弁だからね」と付け加える。

義父は鹿児島弁が強い。聞き取れないほどではないが、たまに聞き取りづらい時はある。そうでなくても年配の方の話しぶりであるから、当然クセはある(妻は神奈川の育ちなので方言を自分で話したことはない)。

なんだか嫌な笑いだな、と思っていたら、今日は私が標的になった。

娘が「パパの真似(笑)」と言って、お茶をわざとズルズル音をさせながら飲んだ。

カミさんの受け売りだ。カミさんはいつも、私が「ズルズルお茶を飲む」と言って嫌な顔をする。娘のしつけに悪影響がある、と言う。

カミさん以外に「飲む音がズルズルうるさい」と指摘されたことはないが、それはもちろん、友人たちが気を遣っているからかもしれない。言われてみればたしかに私はスタバのコーヒーをリッド(フタ)を付けたまま飲むことができない。自分を猫舌だと思ったこともないのだが、リッド付きのコーヒーは私には熱すぎる。漫画に登場する老人が湯飲みで緑茶を飲む時の「ズズズ」という擬音があるが、ああいう飲み方しかできない。だからたぶん私がお茶を飲む音はうるさいのだろう。

だから、娘が「パパの真似」と言ってズルズル音を立ててお茶を飲んだ時には悲しかった。カミさんはよく、私の悪癖を止めさせるために、こうして私を馬鹿にして蔑むというやり方をとる。娘も当然、それを学んだ。

今年、娘は小学校に上がる。鹿児島弁の同級生がいたら、娘はたぶん馬鹿にするだろう。お茶を音を立てて飲む同級生がいたら、たぶんそれも馬鹿にする。

妻の教育の甲斐あって、娘はお茶をズルズルと音を立てて飲むことはなくなった。そして同時に「お茶をズルズル音を立てて飲む人を蔑む」ことを覚えた。人を侮辱する笑いを学んだのだ。妻の一族が連綿と受け継いできたものを、彼女もまた継承したのであろう。

2018-09-18記

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